白髪 ~斎藤別当実盛(さいとうべっとうさねもり/1111年 – 1183年)
平安時代末期の武将。
「平家物語」より
加賀国、篠原の戦いにて~
実盛は、かねてから心に期すところがあり、味方がみな落ちゆく中でただ一騎、名も名乗らず戦っていた。
心猛り孤軍奮闘するも、戦い疲れ手傷も負い、そのうえ老武者…。ついには討ち取られてしまう。
その討ち取られた首を、敵の大将である木曾義仲の御前に差し出すと、木曾殿は「あっぱれ、これは斎藤別当である。おさな眼に見たので憶えておる。しかし、髪の黒いことはどうしたことか…」と首を洗わせたところ、すっかり白髪が現れ、木曾殿はじめ、みな涙をおさえるのであった。
この作品では、齢七十にして、白くなった鬢髭を黒く染め、最期になるであろう戦に臨む実盛の姿を表現しました。
時代の大きなうねりの中で平家の落日を思い、老いた自分を鏡に映して何を思うのでしょうか。