朧月夜 ~藤原保昌(ふじわらのやすまさ/958年 – 1036年)
平安時代中期の廷臣。武勇に秀で、源頼信/平維衡/平致頼らとともに道長四天王と称された。妻は女流歌人和泉式部。保昌自身も歌人であり、『後拾遺和歌集』に和歌作品一首が採録されている。
『宇治拾遺物語』『今昔物語』より~
ある秋の朧月の夜に、一人で笛を吹いて道を行く者があった。
それを見つけた袴垂(はかまだれ)という盗賊の首領が、衣装を奪おうとその者の後をつけたが、相手の威厳にどうにも恐ろしく思い、手を出すことができなかった。
その者こそが保昌で、保昌は逆に袴垂を自らの屋敷に連れて行き衣を与えたところ、袴垂は慌てて逃げ帰ったという。
この作品では、怪しい気配を感じながらも、泰然と笛を吹いて道を行く保昌の姿を表現しました。