恋塚(こいづか)~遠藤盛遠(えんどう もりとお/1139年 – 1203年)
平安時代末期から鎌倉時代にかけての武士。のちの文覚。
盛遠は、夫のある女「袈裟御前」に恋をする。次第に、その夫(源 渡 みなもとのわたる)を殺めてでも袈裟を我がものにしたいという想いを激しく募らせていった。ついには、ある夜に渡の屋敷へと忍び込み、寝所にいるその首を斬り落としてしまう。
ところが、月明かりの下で斬り落とした首を見てみると、それは渡の身代わりとなった愛する袈裟の首だった。
盛遠は、自分の愚かさと罪深さを嘆き、袈裟の首を抱いて鞍馬の山奥を彷徨った果てに出家。名を「文覚」と改めて、ひたすら修行の身となる。
「恋塚」とは、夫の身代わりとなった袈裟御前(けさごぜん)の墓を指した言葉です。
この作品では、月明かりに照らされた首が、夫の身代わりとなった袈裟御前の首だったと知った刹那、己が罪深さを嘆き、後悔し、絶望し、あらゆる感情が渦巻いたであろう盛遠の姿を表現しました。