全作品, 彫刻作品

竹生島

楠/H420(mm)

ようやく日が暮れ、陰暦十八夜の月が出て、海上を照らし、社檀もますます輝きました。

まことにめでたい風景でしたので、常住の僧が「これは名高い琵琶です」と、琵琶を差し出してきました。

経正は受け取り、秘曲・琵琶三曲の中から「上玄」「石上」を弾きました。
お宮の中も澄み渡り、非常に趣が出ました。

すると、明神も観応に耐えなかったとみえ、経正の袖の上に白龍が姿を現しました。

経正は、あまりのかたじけなさに、しばらく琵琶を置き、このように詠いました。

ちはやふる神に祈りの叶へばや

しるくも色の顕はれにけり

《竹生島》~平 経正
平家物語より

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